は天国か極楽浄土か。しかもお金を頂いて芝居を作っている。最高 な生活ではないか。感謝してもし尽せないものがあった。それだけ にいい舞台を造らねばと思った。自分達だけでやっている東京の公 演とはわけが違う。僕たちは雇われている。呼ばれた目的を果たさ なければならない。その為にお金を頂いているのだから。今思うと これが初めてお金を貰ってやった仕事かもしれない。とてもプレッ シャーを感じていた。 公演は大きい舞台に必死で対応しながら無事終えることが出来た。 古山が本番前に侍みたいなメイクをして僕の前に現れ、 「これくらいしないとわかんなくない?」と言ってきたので、頼む からやめてくれと言ったの覚えている。 お客さんが喜んでくれたので、僕たちは雇われた対面を何とか保っ た。 ホッとした。 さぁ打ち上げだ。北海道最後の夜だ。 津村の父君は大のステレオマニアで自宅の屋根裏部屋がなんとカラ オケルームになっているのだ。打ち上げの二次会、最後の夜は屋根 裏部屋へレッツらゴーである。父君はブースに座り、音響卓をいじ り、音を出してくれる。皆呑めや歌えや踊れやの大騒ぎだ。僕もそ の夜は執筆をせずトコトン呑むと決めていたので泥酔状態である。 いつの間にかマイクを奪い、でかい蝶ネクタイかなんかをして司会 をしていたようだ。そのハイテンションの司会が皆のツボにハマっ たらしく、屋根裏部屋は異常な高揚感に包まれる。北海道の方も東
第十話「青春時代と呼ぶならば」蓬莱竜太