元自衛官の方が「見送らん、さびしい」と言って涙目になりながら そっぽを向いている。そんな子供みたいな大人の姿を見て、僕も泣 きそうになった。人の暖かさにやられた。 また来る、と約束をした。またみんなで来ると。 あれから十二年である。僕たちは約束を果たせていない。きっとあ のメンバーではもう行けない。十二年。干支が一回りした。恐らく あんな風にもういれないのだろう。違った屋根裏の過ごし方がちゃ んと出来るだろうか。それはそれで悪くない、というような飲み方 が出来るだろうか。例えばこの十二年をどう振り返るのだろうか。 それは北海道の方々にどんな風に映るのだろうか。 皆さんお元気だろうか。 お会いして十二年間の不義理をお詫びしたい。 蟹味噌と日本酒と同時に過ぎた年月を流しこみたい。
第十話「青春時代と呼ぶならば」蓬莱竜太










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