馬の芝居、やっぱりやって良かった。 と思ったのは覚えている。だけど全く理由が思い出せないんだ!! もういい。忘れることもある。全作品の全てを覚えているわけでは ないと開き直るしか道はないようだ。 きっとディズニーランドとか行って思ったんでしょう。あの夢の国 でずっと笑顔の彼らと触れ合って、きっとそうだ。だけど北海道公 演の過密スケジュールの中の執筆だったからなぁ。うーん。 「どうかしてた」 これで片付けよう。 相変わらず午前10時から稽古をしていた。この公演から客演は専 門学校の後輩や先輩だけではなく、他の劇団で活躍している方々た ちも参加してもらえるようになった。今振り返ると本当によく文句 も言わず付き合ってくれたと思う。情報誌にも掲載されるようにな った。舞台美術を発注するようにもなった。見事なセットだった。 世界が少しずつ、少しずつだが広がっていくのを肌で感じていた。 勿論喜ばしいことだが、今思えば以前のままではいられなくなる、 という道に僕たちは気付かないまま舵をきっていたとも言える。得
第十一話「何故馬なのか」蓬莱竜太