だけど全然テント公演じゃないですよね、という根本的なことをそ ういうタイミングで言う奴は必ずいて、いやそれはわかってるんだ けど、という空気になり、それから、ぇぇじゃあテントやめる?と いうムードにヌルヌルっと移行していく。 津村が、 「じゃあ東京テントトンテは?」 もはや何をさけて何を残そうとしているのかわからない、響きだけ がやたら可愛いのを言ってきた。浅草のベテラン漫才コンビを連想 したのを覚えている。そうなってくると次第に採用されるかどうか はどうでもよくなり、面白合戦だ。ひとしきり盛り上がり、疲れ、 お開きムードになってくる。 「モダンスイマー」というタイトルの作品を作る一度だけの集団「 モダンスイマーズ」という案が浮上してきたときには疲れも手伝い、 まぁ特に反対する理由がないという理由であっけなく決まる。ピー ク時にあった名付けの熱は過ぎ去っており、やや覚めてきた頃合い のなか満場一致をみたわけである。ベストな子がやってきたわけで はないが、まぁ追い返す理由もないから・・・どうぞお入り。みた いな感じで命名された子である。あとあと色々と後悔するのだが、 その時は先のことなど想像も出来ない。
第四話「旗揚げ『モダンスイマー』」蓬莱竜太