と叫ばなければならない台詞を、
「そんなこと言われたって、俺、時間ないですよ!」
とキッパリ叫んでしまったのだ。
これに古山はハマった。彼の役は表情一つ変えないクールな役なの
だが、こらえ笑いが止まらなくなってしまったのだ。その直後の西
條さんと古山が会話するシーンもまだこらえ笑いが続いていたので、
イラついた西條さんの黄金の右が古山の左頬に炸裂したのだ。当然
劇場の空気も混沌としていた。カオスだった。
この時から古山と西條さんの主従関係の歴史が始まったと僕は思っ
ている。
しかし本当に楽しい毎日だった。打ち上げ終わりに9人全員で古
山の実家になだれ込み雑魚寝をした。そしてあっという間の二ヶ月
が終わった。
自分はまたあの生活に戻るのか。漫然とあの日々を送るのか。本当
にそれに耐えられるだろうか。と考えていた。
「じゃあ来年、いつにする?」
と西條さんが言ってくれた。