「花組」こそが最後の砦である。彼らはいずれやってくるであろう 「ガロ」を殲滅すべく、つくば寺に網をはり、ガロを待つのであっ た。 「ゴドーを待ちながら」ならぬ「ガロを待ちながら」である。 面白そうじゃないか。こうやって書くと面白そうじゃないですかぁ。 しかしまあこの物語、モダンの中でも一、二を争うお馬鹿な話とな っている。 屋根から落ちて使えないベテラン忍者やら、やたら張り切っている 新人忍者やら、みんなをまとめるのにテンパっている組頭やら、黒 を着てこいって言ってるのに白着てきちゃう忍者がいて、逆に目立 つだろって話だったり、のろしを忘れて作戦変更を余儀なくなれた り、あげくに花組抜けたいという奴が出てきたりとテンヤワンヤに なっていく。そのうえ、「傘地蔵」や「姥捨山」の昔話を物語にか らめるという仕掛けをあつらえており、なかなか高度なことに挑戦 していた。 今思うとその全てが上手くいってなかったなぁ。狙いは悪くない。 つまり「忍者だってサラリーマン」という面白さである。その面白 味を最大限引き出せていない。戯曲のレベルでまずそれが成功して いないように思う。もっと平田オリザ風に創ればよかった。ドキュ メンタリーのように芝居のフィクション度をとことん下げまくって 生々しく省エネな芝居を目指せばよかった。キャッチコピーは「忍 の社会。会社の忍」これにしたい。きっと若過ぎた。まだこの作品
第五話「忍者の話だ『つくば寺セブンローズ』」蓬莱竜太