り若い人間、これから人生を謳歌するべき者たちを大事にすること も視野に入れての中年と言えよう。しかもそれはさりげなく気づか れぬように貢献しているとめちゃくちゃカッコイイ。というか世の 中では普通に若者を育成するべき立場の歳でもある。自分のことに 必死なのは当然、そこからのプラスαこそ中年の魅力だと思う。ナ イスミドルを目指したい。出来ないと思うけどね。  話がどんどん脱線していくので本題に戻したい。つまり第三回公 演、25歳である。まだ若いのである。水泳部の話、忍者の話とき て次は海底油田で働く人間達の話である。とにかく若いのである。 場所は同じみ高円寺の明石スタジオだ。実はこれがモダンでは最後 の明石スタジオとなる。  この公演、あとにも先にも座長の西條さんが一切関わらなかった 公演である。第二回公演が終わって間もない頃、西條さんは1年後 に予定している第三回目の公演は見送りたいと僕に言ってきた。理 由は確かモダンの公演を打つべく資金が整わないということだった と記憶している。当時は出演者全員がノルマ制だったとはいえ、先 立つものも必要だし、経費や赤字が出た場合の処理も必要だったろ う。それを座長は一人で工面していた。僕はただ台本書いて演出し て、わーい演劇楽しい?♪なんつって、鼻たれ小僧みたいに野山を 駆け巡っていた子供である。今だからわかるが大変な苦労だったと 思う。それを一言も僕に漏らさない座長はやはり男、漢、OTOK Oなのだ。
第六話 海底の話だ『ベリーブルーベリー』蓬莱竜太