のか腰の付け根と足の付け根の間というか、そこらへんをガンガン
と叩いているのだ。なんだ?何をやつは表現しているんだ?ちょっ
とシュールだぞ。と思っていた。物語のクライマックスで行方不明
の作業員の居場所が判明していくシーンだった。登場人物たちもテ
ンションがあがっていくようなシーンだったので、そのテンション
で彼はボウコウをどついているのか?それにしてもぉぉ??と思っ
ていた。
そして彼はオシッコを漏らした。
幸い客席がパニック状態になることはなかったが、カーテンコール、
客出し時に哀しく残る聖水は忘れられない。
それから何日かしてやつはまた本番中にボウコウガンガンを意味な
くやりやがったのだ。「あ、今回はそういう意味じゃなかったです
よ」とあとで言われ、ぶん殴りたくなったものだ。
それにしても反省だらけの公演だった。僕自身三回目にして迷い
の中にいた。面白いはずだと信じていた。しかし妙な違和感のよう
なものも感じていた。きっとこの作品は面白くなかったと思う。今
思えば、ではあるが。そしてその理由も今思えば何となくわかる。
僕はこの公演である人にとても大事なことを言われた。その言葉
のおかげで今の僕があると言ってもいい。人を変える言葉はどのタ
イミングでやってくるかわからないものだ。僕の場合、この公演の
打ち上げでそれはやってきた。続きは次回の講釈で。
第六話 海底の話だ『ベリーブルーベリー』蓬莱竜太
平
成
二
十
六
年
三
月
某
日
、
自
宅
に
て