第七話「人生を変える言葉」 蓬莱竜太  前回の続き。 第三回公演「ベリーブルーベリー」をやりながら僕が感じていた違 和感は『演劇が違った形に見えてきた感覚』だった。  それまでもやりたいことはやってきた、つもりだった。描きたい ことは描いてきた。しかしそのアプローチに固定観念のようなもの があったような気がする。当時、ちまたではポップアートのような 演劇が多かった。ポップでコミカルであり、ややシニカル。つまり オシャレなわけである。コントと演劇の間というのか、軽妙であり つつ、冷ややかでもある。とにかく暑苦しくあってはいけない。知 性がそこに匂い立てば最高である。そういうものは女性客が多く、 あろうことか、役者がモテている感じだった。そういうものが多か った。主流だった。僕たちがやっているものはそういうものではな かったのだが、それでも、例えば、コミカルな部分を散りばめない とお客はついてこないだろう、とか、ここまでエグい表現をすると 引くだろう、とか、暑苦しいやりとりを書いたら誰も観に来なくな るわけでしょう、とか。そんな感覚はあった。無意識に時代の影響 は受けていた気がする。 これは何だろうか。何故そんなことが気になっていたのだろうか。
第七話「人生を変える言葉」蓬莱竜太