よ。いや、ヤバいかヤバいよね。だけど衝動に従うなら今はこうい うことになる。なっちゃうわけよ。でもやったらどうなっちゃう。 どうなっちゃうんだろう。  余談だが皆さん電車に乗っていて、今自分が突然大きな声を出し たら周りはどうなっちゃうんだろうと想像することはないだろうか。 例えば葬式で、例えば会議で、今ここでもし自分が奇声や奇行を発 動したら周りはどうなってしまうんだとドキドキしたことは。僕は よくある。あれは緊張からの解放を無意識に求めるかららしい。つ まり物理的に奇声や奇行はすぐにでも発動させようと思えば可能な わけである。手続きも特別な能力もいらない。何秒後かには自分を 取り巻く状況を一変させようと思えば可能なのだ。自らが勝手に自 制しているだけである。いわば自分は兵器だ。実行可能ゆえの緊張。 緊張ゆえに解放したくなる欲求。まさにそれである。これ、こんな 北陸ド直球のVシネマのような芝居を今このタイミングでやっちゃ ったらどうなっちゃうんだろうという緊張があり、もうしちゃおう、 もういっちゃえ!という解放の欲求に身を投げたのである。 過去にも忍者とか海底油田とかヘンな設定で芝居はやってきた。し かし今までとは内容が違う。前まではそういう設定をどこか自分た ちで笑うというようなムードの芝居になっていた。しかし今回は大 マジである。大マジの北陸ド直球号に皆を乗せようとしている。皆 もそのマジさに乗車を拒否しているような感じだ。力一杯の方向転 換である。  役者に角刈りにさせたりアフロにさせたり、ボンタン、ドカン、
第八話「デンキ島とは」蓬莱竜太