がそれまくった。失敬。  つまり角刈りの彼は結果ものすごく評判が良かったのだ。他の役 者から言わせれば複雑だろう。アンタに一番時間使って、アンタ最 後は角刈り一つで勝手に楽しくなって、結果アンタが評判がいい。 アンタの時間こっちも稽古したかったんじゃい!!これは演劇ある あるだ。  古山は主人公である孤高の男「坂本シンヤ」を演じた。当たり役 だった。いきなり事務所からお誘いが来てたなぁ。僕たちはその時 点では無所属だったので、古山が一番最初にスカウトされた役者と いうことになる。  津村は「坂本シンヤ」の幼なじみ、坂本シンヤのことを慕ってい るが、別の幼なじみの番長の言いなりになってしまう男。臆病でズ ルく立ち回ってしまう男。悲しいかなこれも当たり役である。劇中 で坂本と番長にありえない数のビンタを喰らっていた。これほどビ ンタされるのが似合う男がいるのだろうかと感動すらしていた。ビ ンタされたときの眼鏡のズレ具合ったら、そりゃもう。それから当 分津村がビンタされる芝居は続いた。やがて津村は眼鏡のズレ具合 をコントロール出来るスキルを獲得した。ちなみに飛ばし専用眼鏡 もあるようだ。  座長は「モズ」という恐ろしい男の役だった。「田中とモズ」と いうコンビである。この二人のコンビが好きでそれ以降のデンキ島 シリーズ全てに出ている。丸坊主にモッズコート、下駄という出で
第九話「転換期。最後は運だぜ」蓬莱竜太