劇団員と密かに話していたことがある。もし女の子が生まれたら絶 対に座長は過保護に育てるだろうなあ、ニコニコしてるんだろうな あ。そうなると舞台の仕込みのときも優しくなるんじゃないか。鬼 の座長から仏の座長に変わり、皆が怒鳴られることもなくなるんじ ゃないか。 もし男の子の場合は厳しく育てるんだろうなあ。でっかい男に育て るんだろうなあ。生温いことは許さないのかなあ。その余波で舞台 の仕込みはもっと厳しくなるんじゃなかろうか。息子が見学に来た ら更に厳しくされる可能性はある。挙げ句、息子にも怒られてしま うんじゃないか。親子二代に渡り怒られる劇団員達。僕たちはそっ と女の子が産まれることを祈った。勿論、無事な出産。これが一番 の願いである。その願いの一片に「女の子がいいな」というささや かな希望を添えた。 そして産まれた。 3700グラム越えの立派な日本男児が産まれた。 いやあ、めでたい。 座長と座長の家族。彼らの幸せを願わずにはいられない。 さて、去年の夏から今年の春まで周りには色々なことが起こってい た。無論僕にもいろいろなことは起きた。芝居漬けの日々。この長 い長い地獄行脚を本当に終えられるのだろうかと不安に思う日もあ った。もちろん辛いだけの日々ではない。色んな役者、スタッフと
復活編「どんな顔をして再開すればいいですか」蓬莱竜太